判例動向

§ 2021年6月23日別姓訴訟家事審判最高裁大法廷決定について(2021/8/17更新)

)川口かしみ(早稲田大学研究員)による判例紹介

2)弁護団からのコメント


3)登録会員による最高裁決定に関するコメント


1)川口かしみ(早稲田大学研究員)による判例紹介

川口かしみ..pdf

2)弁護団からのコメント弁護団長榊原富士子弁護士の了承をえて、別姓訴訟を支える会のサイトhttps://bessei.netより転載

弁護団からのコメント.pdf

3)登録会員による最高裁決定に関するコメント

水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授)「夫婦同氏制と婚姻の自由――最高裁判例における反対意見の意味」(水島教授の承諾を得て、ホームページ「平和憲法のメッセージ」の「直言2021年6月28日」http://www.asaho.com/jpn/bkno/2021/0628.htmlより転載」)

水島教授.pdf

山下泰子(文京学院大学名誉教授・国際女性の地位協会共同代表)


2021年6月23日の決定は、最高裁が自らの違憲立法審査権を放棄するものです。国連女性差別撤廃委員会は、日本に対し、民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を導入するよう繰り返し強く要請しています。日本は、一刻も早く女性差別撤廃条約選択議定書を批准し、個人通報制度によって、国際基準による判断を求める必要があります。

③ 西山千絵(琉球大学法科大学院准教授)

夫婦同氏原則により、どちらか一方が望まない氏の選択をせざるを得なくなるカップルが出ていることは、長年の懸案事項である。しかし、今回も、国会に時間的猶予を与える合憲判断が選択された。しかし、要旨、平成27年の大法廷判決を今の時点では変更しないと述べるにとどまる。多数意見との距離感を示した意見・反対意見のうち、とりわけ、宮崎・宇賀反対意見は多岐にわたる示唆を含み、現実に創設された法制度に左右されない婚姻の自由のありようを考える際、丹念に分析されるであろう。夫であれ、妻であれ、どちらかが我慢して一方の氏に統一するのであれば、そこに対等でない夫婦の関係性が、まさしく一方的な不平等がある。それでは、婚姻する2人は本質的に平等であると規定する憲法24条の趣旨には合致しない。

戦後の婚姻制度のよりよい発展型として、選択的夫婦別氏制度は個人の尊重と両性の本質的平等に立脚した制度と考えられ、最高裁もこれを肯定的に捉える認識をもっていることは、当該制度にわざわざ言及するあたりからも、伺われる。家族の法制に関しては、婚外子相続分差別違憲決定を受けた平成25年の民法改正など、半ば意図的に課題が棚上げされた結果、最高裁に違憲と促されてようやく変える、といった後ろ向きの改正が続いている。今度こそ、主体的に、立法府としての責任を果たされることを期待したい。


④ 二宮周平(立命館大学教授

https://note.com/legal_scholars/n/nf676fa525fbc